2015年10月25日

(ハフポスト日本版掲載記事)年金7兆9000億円、運用損で消えていた 証券アナリストが試算

野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストと、民主党の山井和則衆院議員に取材させていただきました。ありがとうございました。年金運用のあり方や、PKO(株価維持策)のリスクはもっと認識され、国民の間で幅広く議論されるべきものだと思います。

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年金7兆9000億円、運用損で消えていた 証券アナリストが試算

140兆円を超える公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年7-9月期の年金運用損失が、約7兆9000億円に上っていることが大手証券会社のアナリストの試算でわかった。世界的な株安が年金運用損を膨らませた格好だ。

野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストが10月23日、ハフポスト日本版の取材に対し、試算を明らかにした。それによると、GPIFの7-9月期の運用損は、国内株が約4兆3000億円、海外株が約3兆7000億円などとなった。この間、TOPIXは13.4%、日経平均は14%それぞれ下落した。

このため、四半期ごとでは、リーマン・ショックの影響が大きかった2008年10-12月期(損失額約5兆7000億円)を大きく上回る損失額となる見込みだ。GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金をマーケットで運用している。

株高が追い風となった2014年度のGPIF全体の収益額は、過去最高の15兆2922億円を記録し、収益率は12.3%に達していた。

資産全体に占める国内株と海外株の割合は2015年3月末時点で、それぞれ22%、20.9%だったが、株高を受け、同年6月末時点ではそれぞれ23.4%、22.3%に引き上げられていた。7-9月期の大幅な運用損は、この株式比率の引き上げの影響をもろに受けた格好だ。

GPIFによる公的年金の運用問題を追及している、民主党の山井和則衆院議員は23日、ハフポスト日本版の取材に対し、「国民の年金保険料をこのようなリスクにさらすのは大問題だ。実態経済以上に、官製相場で株価を無理に上げてきたツケが回ってきている」と話した。山井議員によると、GPIFは11月末に7-9月期の運用実績を発表する予定。
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2015年10月18日

(ハフポスト日本版掲載記事)「心神」国産ステルス戦闘機 1月にも初飛行 エンジン改修で計画より1年遅れ(画像集)

ハフポスト日本版に16日に書きました拙稿です。心神こと先進技術実証機のプロジェクトについては、ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー東京特派員時代から追いかけています。何か動きあれば今後も随時、書きたいと思っております。

「心神」国産ステルス戦闘機 1月にも初飛行 エンジン改修で計画より1年遅れ(画像集)

将来の国産ステルス戦闘機の試作機となっている「先進技術実証機“ATD−X”」(通称・心神=しんしん)が 2016 年1月にも初飛行することがわかった。防衛装備庁の関係者が10月16日、ハフポスト日本版編集部の取材に対し、明らかにした。エンジンの改良作業を施したため、当初の計画より1年ほど遅れることになった。

この防衛装備庁の関係者は「(心神の)初飛行は早ければ年明けになるだろう」と明言。「一般的に航空機のエンジンは、気温が低い方が性能を発揮できるとされている」と述べ、冬期の初飛行のメリットを強調した。

14日から16日まで東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「東京エアロスペースシンポジウム2015」では、先進技術実証機の5分の1の大きさのスケールモデル(縮小模型)が展示された。このスケールモデルは、2007年に北海道大樹町で実際に無人で上空に飛ばされたもの。

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このほか、赤や黒でカラーリングが施された心神の小型模型も陳列され、大勢の来場客の注目を集めていた。

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心神は、日本の技術で将来のステルス戦闘機(F3)の開発の可能性を探るため、防衛省が1995年度からエンジンの研究を始めるなどして、開発を進めてきた試作機。近代日本画壇の巨匠である横山大観が、富士山を日本の「心神」と呼んでおり、名称には「日本の魂」という思いが込められている。

心神は試作機とはいえ、事実上の「日の丸ステルス機」の第1号。主契約企業の三菱重工業が現在、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)を生んだ同社の名古屋航空宇宙システム製作所(旧・名古屋航空機製作所=名航)の小牧南工場で、アビオニクス(航空機搭載の電子機器)や電装についてのデータを取るなどして、心神の地上試験を実施している。心神はゼロ戦と同様、名航で誕生するわけであり、その意味で「ゼロの遺伝子」を受け継いでいるといえる。

心神の初飛行は2014年中に行われる見通しだった。しかし、「エンジンが停止した時に再始動させるための改修作業をしたため、遅れが生じた」(防衛装備庁の関係者)という。契約では三菱重工業は11月末に機体を防衛省に納入する予定だったが、このまま遅れが続くと、契約変更の可能性がぐっと高まる。これに伴い、初飛行も年明けにずれ込む格好だ。初飛行は小牧南工場に隣接する小牧空港で行われる。

心神は、F2戦闘機の後継機となる将来の「第6世代戦闘機」F3の生産に向けたプロトタイプ(研究試作機)である。つまり、防衛省は、心神をF35といった「第5世代戦闘機」と呼ばれる現在のステルス機の上を行く、「第6世代戦闘機」のカウンターステルス機の礎にすることを目指している。

心神の特徴は、優れたステルス性と機動性にある。敵レーダーに探知されずに敵を捕捉できる高いステルス性能、耐熱材料、先進アビオニクスなど、日本が誇る高い技術を活用した高運動性を武器とする。

先進技術実証機「心神」スライドショー

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2015年10月16日

(ハフィントンポスト日本版掲載ブログ)日本にとって、安全保障上の最大の脅威は債務だ

久しぶりの個人ブログの更新です。「いい加減に更新しなよ〜!」と思っていた方もきっと多かったと思います。(^_^;) 大変、お待たせいたしました。

最近、ハフポスト日本版に書いた拙稿です。

日本にとって、安全保障上の最大の脅威は債務だ

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国会前で大規模なデモが繰り広げられ、多くの国民の理解が得られない中、安倍政権は安保法制を国会で成立させた。安倍首相は中国や北朝鮮を名指しで、事実上の「脅威」に見立て、安保法への国民の理解を広げようとしてきた。

■ 膨大な国の借金は「トロイの木馬」

しかし、日本にとって安全保障上の最大の脅威は、今や中国や北朝鮮ではなく、1000兆円を超える国の公的債務だ。この膨大な借金は、日本にとって「トロイの木馬」のようなものだ。今後、社会保障費や軍事費の拡大による財政悪化懸念から国債が暴落したら、それこそ国民の命や暮らし、生活を根底から脅かす元凶になりかねない。そして、財政破綻をしたギリシャのように、各種の行政サービスのカットに加え、年金削減や増税の痛みからも逃れられない。(日本は財政再建のため、社会保障費を抑制せずに、すべてを消費税率の引き上げで賄おうとした場合、最終的に30%超の税率が必要になる、との試算もある)

さらに言えば、かりに国債が暴落する事態に陥らなくとも、政府は今後、ますますどんな政策を打とうとしても、常に「財源はどうするのか」という深刻な懸念に付きまとわれることになる。財政状況が火の車で、何をするにしても、カネが無くなる。

この背景には、国の膨大な借金(国債)を買い支えてきた国内の民間(家計+企業)貯蓄が、人口の高齢化や家計所得の低下によって、長期的な減少傾向に陥っていることがある。庶民のタンス預金を含む民間貯蓄は、これまで預金や年金・保険といった形で国内の金融機関に集まり、国債の発行を国内で十分に消化することに寄与してきた。しかし、今後はボディーブローのごとく、それがじわじわと難しくなることが目に見えている。

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日本の国債が国内需要で十分に賄えないようになるとどうなるか。外国勢の国債保有シェアがぐっと高まり、市場での金利の決定で、ヘッジファンドなど海外勢の影響を強く受けるようになるだろう。もし海外勢の影響を受け、金利が上昇すれば、国債を大量に保有している銀行や生保など国内の機関投資家のバランスシートが毀損。さらに、日本国債が格下げされれば、こうした日本の大手金融機関も、国債を手放さざるを得ない事態も想定できる。

■ 世界最悪の財政赤字

経済協力開発機構(OECD)によると、日本の債務残高の対GDP比は232%に達し、世界最悪の状況だ。ギリシャ(188%)を大きくしのぐほか、財政危機に陥ったイタリア(147%)やポルトガル(142%)、フランス(116%)、アメリカ(106%)を大きく上回る。

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よく「日本が世界最大の債権国」であることから、日本の安心や安全、国際的な信認を強調し、日本の国債の暴落リスクを一蹴する議論がある。しかし、アメリカに大量に保有する日本の米国債(1兆1970億ドル)は、自国の借金返済のためでも簡単には売却できない。1997年当時の橋本龍太郎首相は、日本政府保有の米国債の売却をにおわす発言をして、その後、退陣を余儀なくされた。

また、マクロ経済では、国内の民間貯蓄の低下と財政赤字の増加は、現在の経常黒字の低下を意味する。

財政収支+民間貯蓄(企業と家計)=経常収支

東日本大震災後のように、経常収支が再び赤字に転じれば、フローの国内需要が不足し、海外勢の影響を強く受けるようになる。

リーマンショック後、アメリカの財政赤字が2年連続で1兆ドルを突破した2010年、アメリカ軍の制服組のトップである、当時の国防総省(ペンタゴン)のマイケル・マレン統合参謀本部議長も「アメリカの安全保障の最大の脅威は、債務だ」と、膨れ上がる財政赤字に警告を与えたことがある。

■ 日本は「茹でガエル」か

ひるがえって、日本はどうか。そのような警告を与える政治家や企業人はいない。逆に、2016年度の一般会計の要求総額は、年金や医療、介護など社会保障費や防衛費が膨らみ、102兆円超と過去最大を更新した。民主党政権と比べ、安倍政権の下、財政規律は緩み、歳出削減の取り組みは鈍くなっている。この国は、感覚麻痺の「茹でガエル」のたとえのように温度が危険なほど上昇するまで、深刻なリスクに気づかないでいいのだろうか。

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posted by Kosuke at 00:20| Comment(0) | ハフィントンポスト