2012年06月25日

自分の頭で考え、自分の足で立つ国を作ろう!

米海兵隊が普天間飛行場に配備を目指す「オスプレイ」について、NHKもこの日曜日、「沖縄だけでなく、本州、四国、九州の6つのルートでも飛行訓練を計画していることが分かった」と報じた。

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朝日新聞も日曜日の朝刊で、こうした6つのルートとは別に山口や広島、兵庫など中国地方上空を通過する第7のルート「ブラウンルート」を報じた。オスプレイの普天間配備をきっかけに、日本がなぜ米軍部隊に基地と施設を提供し、「思いやり予算」など多額の経済的な負担をしているのか、その意味と意義を改めて考える絶好の機会になるかもしれない。

それにしても、NHKも朝日も、オスプレイのことを「新型輸送機」と報じたが、それは正しくない。先日もアジアタイムズにも書いたのだが、オスプレイがアメリカのメディアに大々的にお披露目になったのは1988年5月のこと。もう24年前に実物が発表された輸送機だ。新型でも何でもない。ちなみに、製造メーカーのベル・ヘリコプターは1988年当時、オスプレイを民間向けのコミューター機として活用することを目指していた。1988年時点での予測で、2000年にはニューヨークとボストン、あるいはニューヨークとワシントンを結び、年間500万人から800万人の乗客を運ぶコミューター機として期待されていた。

しかし、24年後の今日、オスプレイは米軍のみに使用され、民間機として利用されていない。

なぜか?

開発初期、開発→事故→さらなる開発→さらなる事故→さらなる開発といった悪循環があったためだ。これまでの高コストと安全性の複合問題のためだ。コストと安全のハイブリッドの問題がオスプレイの民間活用を妨げている。

米海兵隊は2007年にイラクに配備するまでに開発費200億ドルをオスプレイに費やした。また、オスプレイをめぐっては開発段階を中心に多くの犠牲者を出し、これまでに36人が死亡している。オスプレイが民間向けに使われていない理由として、economicalではないし、practicalでない、と断言する専門家もいる。

「ブラウンルート」の存在まで全国紙に載るようになった今、オスプレイを中心に在日米軍のあり方が問われてくるだろう。近いうちに、「エリア567」と呼ばれる自衛隊が米軍に「又貸し」した中国・山陰上空の飛行訓練の空域も問題になってくるかもしれない。この飛行訓練エリアでは、「ドッグファイト」と呼ばれる戦闘機による空中戦の訓練が行われ、民間旅客機も米海兵隊岩国基地の航空管制を受けている。

ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーの先輩記者、故・江畑謙介さんも以前、本に記述していたが、基本的にいえば、どんな国でも外国の軍隊と基地があるのは好ましくないだろう。軍隊と言うのは、国権を発動する一国の武力行使組織。そんな外国の軍隊と基地を自国内に受け入れた場合、自国の国家主権の制限や侵害の事態を生み、トラブルの元になるからだ。

しかし、その一方で、一国だけでは自国の安全を確保できない現実もあり、他国の軍隊を積極的に受け入れる国々も少なくない。米軍を受け入れる韓国やNATO諸国を思い起こすと分かりやすい。日本の場合、第二次世界大戦での敗北、連合国軍の進駐、占領という歴史の「負の遺産」が影を落としている。日本の全国各地に存在する在日米軍は戦後、どうしても歴史的に占領軍的な要素を持って残留している。在沖縄の米軍がその典型だ。

問題は、アメリカ任せの、アメリカ頼りの防衛や外交では、「自国の国は自分たちで守る」との国民世論も気概も生まれない。気骨な国家戦略も生まれない。当たり前だが、自分の頭で考え、自分の足で立ってこそ、国家の主権が確立される。これは何も、外交・防衛政策だけに影響が及ぶのではなく、経済政策でも金融政策でも財政政策でも影響を与えてくる。(アメリカが日本に要求しているTPPを思い起こすと分かりやすい。)

「アメリカ無くとも、自国の国は自分たちで守り、いざという時には血を流す」との独立自尊の覚悟が無い国では、いつまでたっても、政治には危機感がない。政治家には、自衛隊員や海上保安庁の職員の命を預かっているという緊迫感も欠けている。

ここ何十年間も「コップの中の嵐」の内輪もめを繰り返す、日本の政界をみると、改めてその危機感や緊迫感の無さに驚く。その大きな原因の一つに、国防を他国、つまり、アメリカに任せっきりで、対米追従路線で事なきを得ている、この国のあり方にあると僕は思っている。

(NHK記事)オスプレイ 本州などでも飛行計画
6月24日 11時27分

沖縄への配備が計画されているアメリカ軍の新型輸送機「オスプレイ」について、海兵隊が、沖縄だけでなく、本州、四国、九州の6つのルートでも飛行訓練を計画していることが分かりました。

「MV22オスプレイ」は、垂直に離着陸し、水平飛行もできるアメリカ軍の新型輸送機で、海兵隊が沖縄の普天間基地への配備を計画しています。

これに伴って、今月、海兵隊が作成した環境への影響についての報告書が公表され、この中で、海兵隊が、沖縄だけでなく、本州、四国、九州の6つのルートでも、オスプレイの飛行訓練を計画していることが分かりました。

ルートには、東北の「グリーン」、四国の「オレンジ」、九州の「イエロー」など色の名前が付けられ、海兵隊は、6つのルートでの飛行訓練が、合わせて年間330回になると予測しています。
飛行高度は、日本の航空法が定める最低安全高度のおよそ150メートル以上だとしたうえで、低空飛行や夜間飛行も行う計画だとしています。

また、訓練に伴う騒音などの影響は大きくないとしています。

オスプレイを巡っては、今月アメリカで、ことし4月にはモロッコで墜落事故が起き、沖縄などで配備に反対する声が強まっています。

軍事評論家の前田哲男さんは「沖縄だけでなく本土の空域も使うことが明らかになったわけで、オスプレイの配備については、本土の人も無縁ではないということを示したものだと思います」と話しています。

6つの飛行ルートとは
飛行ルートについて、海兵隊の報告書では、関係する自治体の名前は記されていませんが、地図に示されたルートによると、▽東北の山間部を飛行する「グリーン」と「ピンク」、▽北アルプスや越後山脈の周辺を飛行する「ブルー」、▽四国山地周辺を飛行する「オレンジ」、▽九州山地周辺を飛行する「イエロー」、▽奄美諸島に沿って飛行する「パープル」の6つです。

報告書は、これらのルートで、山口県の岩国基地所属の海兵隊機、ハリアー攻撃機や、FA18戦闘攻撃機が、以前から飛行訓練を行ってきたとしていますが、軍事評論家の前田哲男さんは「ルートの存在は以前から指摘されていたが、アメリカ側が公式に公表したのは初めてではないか」と話しています。

また、オスプレイが、6つのルートで飛行訓練を行う目的について、前田さんは「海兵隊は、敵のレーダーに捉えられないよう、パイロットに、低空飛行の技術を身につけさせていて、これらのルートで山間部を飛ぶ訓練などを行うと考えられる」と指摘しています。
posted by Kosuke at 02:46| Comment(0) | 在日米軍

2012年06月23日

米軍は日本のほぼ全土上空をオスプレイの飛行訓練場にする

日本の政治家が内政にかまけている間に、米軍は東日本を中心にほぼ日本全土をオスプレイの訓練場にする計画だ。もうすっかりお決まりのパターンとなってきたきらいがあるが、この問題でも、国民に十分知らされないまま、計画が進んできている。国民が置き去りにされているよう。

オスプレイの普天間配備と、それに続く日本本土での訓練計画をアジアタイムズに書いた。


久しぶりにアジアタイムズのトップ記事となった。asiatimes0623.png

US Marines eye Japan as a training yard

People across the eastern part of the Japanese mainland are bracing for low-altitude US military flights, while Okinawans fear the Futenma base will become a permanent feature after a United States Marine Corps report revealed plans to gain a stronger training foothold. With Japan's ruling party distracted by internal strife, it seems the US has twisted acceptance of the plans to its advantage. - Kosuke Takahashi (Jun 22, '12)


the Bell-Boeing MV-22 Osprey tilt-rotor aircraft

Final Environmental Review for Basing MV-22 at MCAS Futenma and Operating in Japan (April 2012)

米海兵隊が4月に作成した環境審査報告書にオスプレイの普天間配備と日本での訓練計画の詳細が記述されている。何せ228ページもある分厚い報告書。じっくり読み、ポイントを絞り、そして、エッセンスを抜き出して、記事にするだけで、大変な労力が必要だった。

この報告書を読み、いくつか僕が確信を得たことを記してみたい。

1. アメリカはすでに普天間飛行場の辺野古移設案を実質、あきらめていること。報告書は2025年までのオスプレイの普天間配備と、それに伴う東日本を中心とする本土での飛行訓練計画を書いているのだが、報告書の中には、辺野古の「へ」の字も出てこない。米海兵隊は、辺野古案抜きで計画を事実上、押し進めている。

2.アメリカは普天間の長期継続使用を目指している。辺野古が無理と分かっている以上、米海兵隊は普天間の使用を続けるしかない、と明らかに判断している。沖縄にとってみれば、普天間飛行場の固定化につながり、周辺住民の安全性への懸念が強まっていく事態が今後も予想される。

3.米海兵隊は、岩国飛行場とキャンプ富士を本州における二大拠点として位置づけ、さらに強化。オスプレイの本州での訓練拠点地、もっと分かりやすく言えば、オスプレイの本州での飛行訓練を実施する際の重要なベースキャンプにしようとしている。沖縄での海兵隊のプレゼンスが地元の反発もあり、グアム移転などを通じて弱まっていくなか、その代わりに岩国とキャンプ富士での米海兵隊のプレゼンスを高めようとしている。これは、オスプレイが取って代わる米海兵隊の輸送ヘリ「CH-46シーナイト」時代には見られなかった動き。

4.報告書では、本土でのオスプレイの6つの飛行訓練ルートが述べられている。秋田上空を通過する日本海側東北ルート、宮城上空を通過する太平洋側東北ルート、新潟上空を通過する北信越ルート、四国と紀伊半島を結ぶルート、九州上空を通る九州ルート、そして、奄美諸島ルート。こうした本土での飛行訓練もこれまでの「CH-46シーナイト」時代には見られなかった。

こうした理由について、報告書では以下のように記している。

Due to the distance, the CH-46E aircrews do not regularly conduct operations on mainland Japan. However, given the MV-22s ability to fly in airplane mode, these aircraft would be able to cover greater distances in less time than the CH-46s.

「距離のため、CH-46Eは日本本土で定期的に運用できなかった。しかし、オスプレイは飛行モードで飛べる能力を持っているため、短い時間でより遠くまで飛行できるようになった」。


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5.沖縄では普天間飛行場での訓練回数は減るものの、その分、北部訓練場で新たに建設が予定されているヘリ着陸帯6カ所(SC LZ: LZs scheduled for construction)で、オスプレイの運用を実施。一カ所当たり年420回の運用を想定し、合計で2520回を見込んでいる。これは、現在、普天間基地に配備されているCH-46E ヘリの運用回数の1288回を大幅に上回るもの。北部訓練場の半分の返還が日米で合意された中、その条件​として、代替ヘリパッドが北部の東村高江に新設され​ようとしている。地元住民らは、連日座り込みで反対運​動を続けている。北部訓練場重視の米海兵隊の動きはさらに、北部の住民との衝突を生みそうだ。
posted by Kosuke at 00:28| Comment(0) | 在日米軍