2013年09月18日

8月21日に化学兵器を使ったのは本当にシリア政府軍なのか?

国連がシリアの化学兵器使用に関する調査報告書を公表し、8月21日にダマスカス近郊で起きた攻撃で神経ガスのサリンが使用されたと断定した。

しかし、化学兵器を使用したのがアサド政権か反体制派かについては踏み込んでいない。

ただ、朝日新聞などは西側外交官の以下のような匿名のコメントを紹介している。

「報告書は使用者の特定には踏み込んでいないが、政権軍の使用を示唆する十分な状況証拠を提示している」

ところが、ロシアの主張は真っ向から違う。シリアの反体制派が使用したと繰り返し主張している。

実は16日に、ロシアの外交官と会った。non-proliferation(兵器の拡散防止や非拡散)を担当している専門家だ。これまでも何度か会って、情報交換している。(ちなみに僕は韓国や中国、インド、そして、日本の外交官などバランスをとって会って取材するようにしている。)

彼いわく、8月21日もそうだが、シリアの反体制派は今年3月にもシリア東北部のアレッポで化学兵器を使い、ロシア政府が国連に正式に報告したという。

この3月のシリア反政府勢力による化学兵器使用では26人が死んだが、アメリカはじめ、西側諸国が大きな問題にすることはなかった。しかし、AP通信が確かに7月9日になって、ロシアによる国連への報告を次のように報じている。

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Russia's U.N. envoy says Syria rebels used chemical weapons

ただ、8月21日の化学兵器使用のように大きなニュースになることはなかった。

なぜか?なぜなんだ?

ダブルスタンダードではないか?

今、世界は、アメリカをはじめとする西側諸国と、ロシアの情報戦の最中にある。

互いに主張の正当性・正統性をめぐって、駆け引きを続けている。

日本政府をはじめ、多くの国々が今は米当局の情報を受け入れ、シリア政府軍が8月21日に兵器を使ったとみなしている。国際社会の声は常に、英語発信の欧米メディアの方が強くなるから、国際世論もそちらに流れている。

しかし、かりにロシア側の主張が正しく、反体制派が8月21日に化学兵器を使っていたことがはっきりと証明されることになれば、米英仏をはじめとする西側諸国の方がcredibility(信憑性)の面で大変なダメージを被ることになる。その可能性がないわけではない。それはイラクの大量破壊兵器の存在のでっち上げでもわかったことだ。メディアにかかわる者はあらゆる可能性を排除せずに用心してかからないといけない。
posted by Kosuke at 02:23| Comment(0) | シリア
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